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AOOSTAR G-FLIPを購入したのでレビュー。唯一無二の画面付きハイエンドミニPCだが、罠だらけ

目次

AOOSTAR G-FLIPを買ってみたので適当にレビューしていきます。

選定理由

手軽に使えるミニPCが欲しいと思って探していて、条件としては、

  • USB PDで動いてほしい
    いちいち専用ACアダプタを用意するのはめんどくさいので、PD 100Wで動いてほしい

  • 画面が付いていてほしい
    いちいちディスプレイを接続するのはめんどくさいので、本体に画面が付いていてほしい

  • 十分な性能があってほしい
    N100でもっさりするのは耐えられない

などがあります。

それってノートPCでいいじゃんとお思いのことでしょうが、ノートは高いしメモリ増やせないしバッテリーが邪魔だし冷却性能が十分ではないので、選択肢にありません。

数少ない画面付きミニPCで、ハイエンド帯のものは2つ見つかりました。

AYANEO AM01Sと、AOOSTAR G-FLIPです。

AYANEO AM01SAOOSTAR G-FLIP

どちらもRyzen HX370を搭載しています。これがPD100Wで駆動できる最高性能のCPUだと思います。これ以上を望むなら、395や285HXが必要で、PDで動かせる製品はおそらく存在しないはずです。

AM01Sは画面の比率が変で、単独では使いにくそうなので、G-FLIPを購入することにしました。

開封

箱の角が潰れて届きましたが、それはそういうものなので気にしないようにしましょう。

購入したのはメモリとSSDの含まれないベアボーンモデルです。10月中旬の購入時には付属するオプションも選べましたが、メモリ価格高騰のせいで既に廃止されているようです。

怪しい日本語のカードももちろん入っています。

取扱説明書も怪しいですが、とりあえず理解するのに問題ありません。

120Wにしては小さめな電源アダプタが付属しています。

3ピンなので日本で使うなら変換が必要です。初めからUSB PDで運用するのがよさそう。

そして本体。

画面が動きます。天面には電源ボタンと兼用の指紋センサーもあり。

側面は金属製でした。正面には3.5mmオーディオ、USB-A 10Gbpsが2ポート、USB4、マイクとリセットボタンがあります。

側面は通気口のみ。

背面は、電源、USB4、2.5GbEが2ポート、ライセンスない風のHDMI、OCuLink、USB-Aが2ポートあり、10Gbpsと2.0です。

画面の裏側は吸気口になっています。起動している間は基本的に上げておいたほうがよさそうですね。

解体

ベアボーンで買っているので、メモリとストレージを追加するためにまず開腹する必要があります。

中身はこんな感じです。メモリは32GB挿しました。

このマザーボードは、AOOSTARの別モデルであるGEM12の流用のようで、見た目がほぼ同じです。

GEM12

いいところ

HX370で最強

ACアダプタで、モードをPerformanceにしてCinebenchを回すと、22613ptsでした。

モバイルCPUも高性能になったもので、デスクトップのRyzenでいえば5900Xと5950Xの間くらいの性能がありますね。

安い

こんなに高性能でも10万円強で買えてしまいます。AliExpressではタイミングによってはさらに安く売っていたようです。メモリが高騰しているので、これからベアボーンで買っても旨味が薄いかもしれませんが、手に入る見込みがあるなら十分に良い選択肢です。

十分な拡張性

USB4が前後2ポートあるのに加えて、OCuLinkもあります。さらに、SSDは2280が2スロット用意されています。十分すぎる拡張性だと思います。

ネットワークも、2.5GbEが2基に、Wi-Fi7対応のMT7925が搭載されていました。

画面がある

このPCの最大の特徴で、もちろん非常に便利です。サイズが小さいので、これだけで長時間作業するようなものでもありませんが、軽いものなら十分こなせます。大画面のディスプレイを接続してサブモニターにするもよし、サーバーにして常時点灯の死活監視用にするもよし、タッチパネルであることを生かしてAndroidやスマホアプリを動かしてもよし、などなど、活用方法はいくらでも思いつきます。

1920x1080の普通な解像度なのも嬉しいポイント。

わるいところ

終わっている製造品質

AOOSTARのミニPCは大抵品質が終わっていますが、これもまあ終わっています。

今回の個体は、底面のゴム足の裏がいきなり傷つきまくりでした。

それから、基板がGEM12の流用であることはすでに書きましたが、GEM12というやつはかなりの問題児で、普通に使っていると電源周りが勝手に死んで起動できなくなる持病を抱えています。現在生産されているものは既に修正されている可能性もありますが期待はできません。すぐ壊れるものと思って、公式のECサイトかAmazonで購入し、確実なサポートを受けられるようにする必要があります。間違ってもGEM12およびその派生モデルを中古で購入してはいけません。

安っぽい筐体

一応側面と底面は金属ですが(ただし底面に傷がついている)、上は基本プラです。画面の周りがプラスチックなので、画面を動かすたびにそこら中がミシミシ鳴って安っちいことこの上ない状態になっています。

デフォルト状態でPD動作不可

100WのUSB PDで起動することはできるのですが、CPUに負荷をかけると電源が落ちます。付属の電源アダプタは120W出力なので、本当は120W必要ということですね。これをPD対応と書いて売っているのは普通にありえないと思います。

ためしに前後のUSB4ポートを使って2本で給電したら落ちなくなりました。逆にそれでいいのだろうか?

調整する

USB PDで動く高性能PCが欲しくて買ったのに動作不可では意味がないので、頑張って調整することにしました。

BIOSに入ります。

AdvancedのPower Configurationを変更していきます。

まずPower Limitの設定がありますが、これはあまり意味がありませんでした。Performanceに設定すればOKです。

重要なのはSet Peak Package Power Limitです。これを設定することで、高負荷時でも使用電力が100Wを超えなくなり、安定動作できます。70W、80W、90Wがありますが、それぞれの環境で、使用する周辺機器の数、搭載するメモリやSSDの数などを考慮してバランスをとる必要があるのではないかと思います。

設定した場合の性能はこんな感じ。70Wで17652pts、80Wで19119pts、90Wで20421ptsとなりました。

70W80W90W

そういうわけで、90Wで使用することにしました。本当ならAOOSTARが案内すべき内容のはずですが、マジで品質が終わっているメーカーのため、代わりに書いておきました。購入される方は参考にしてください。

感想

これは買ってはいけないPCです。どうしても画面付きのミニPCが欲しいPCオタクだけが購入を検討すべきです。

性能には満足しているので、しばらく使ってみて、もし故障すれば追記します。

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