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AliExpressで売っている怪しいマザーボードとCPUを買った記録です。
AliExpressには、サーバーに使われていた中古のXeonと、それを動かすための謎のマザーボードがたくさん売っています。これを使って、安くて高性能なPCを組もうというわけです。
しかも、サーバー向けのXeonですから、デュアルCPUの構成にすることができます。ロマンと実用性を兼ね備えた経済的なPC、手に入れないわけにはいきませんね。なお、消費電力は気にしないこととします。
マザーボードを選ぶ
AliExpressでちょっと検索すれば、自称X79やX99のチップセットを搭載したマザーボードがたくさん見つかります。HUANANZHI、JINGSHA、QIYIDAといったような、読み方も実在するのかも謎のブランドの製品ですが、まあどれを買っても普通に使えるとは思いますし、動かなければ紛争を開始して返金を受ければいいだけです。
このあと選ぶCPUの選択肢を考えると、上位のX99の一択です。検索結果を見るとこんな感じ。
2ソケットのラインナップも結構あります。
どれを買っても大差ないとは思いますが、MACHINISTのD8 MAXか、HUANANZHIのF8D PLUSがたぶんベストです。
この2つはE-ATXではなくSSI-EEBなので、左右に十分余裕があり、大きめのCPUクーラーも取り付けることができます。多コアで高発熱なXeonを使う以上は、クーラーもある程度高性能なものを選べるようにしたいところです。
今回はMACHINIST D8 MAXにしました。
CPUを選ぶ
自称X99チップセットに対応するCPUで、AliExpressで売っているのは、Xeon E5のv3とv4です。(X79はv1とv2に対応しますが、メモリがDDR3なのでいまさら買いたくないし、性能も出ない気がします。)
v3とv4では、メモリ速度が違ったり、最大コア数が違ったりします。値段はそんなに変わらないので、シングルコア性能の高いv4を買っておいたほうが実用上は有利だと思います。
Xeon E5 v4の中から、ある程度性能が高く、手に入りやすいものをまとめました。モデル、ベースクロック(㎓)、ターボクロック(㎓)、コア数、PassMarkスコアの数値です。
モデル | ベース | ターボ | コア数 | スコア |
---|---|---|---|---|
2699 | 2.2 | 3.6 | 22 | 24859 |
2698 | 2.2 | 3.6 | 20 | 23469 |
2697 | 2.3 | 3.6 | 18 | 20430 |
2696 | 2.2 | 3.6 | 22 | 24573 |
2695 | 2.1 | 3.3 | 18 | 19947 |
2690 | 2.6 | 3.5 | 14 | 19874 |
2686 | 2.3 | 3.0 | 18 | 21391 |
2683 | 2.1 | 3.0 | 16 | 17714 |
2680 | 2.4 | 3.3 | 14 | 17951 |
2660 | 2.0 | 3.2 | 14 | 16005 |
さて、それぞれの性能がわかったので、あとは価格と見比べて良さそうなのを選ぶだけです。結論から言えば、2686、2690、2695あたりがコスパがよかったので、Xeon E5-2690 v4を買うことにしました。
2690の相場が5000円強に対して、2696や2699は2.5~4万円ほどします。5倍以上の金額を払っても、せいぜい1.3倍くらいの性能しか出ないわけですから、こいつらを買う必要性はありませんね。
それから、ヤフオクで買うのは絶対にやめたほうがいいです。リマーク品を掴まされます。
購入
CPU、マザーボード、メモリのセットが売っていたのでそれにしました。クーポンをいろいろ使って4.5万円でした。
別で買うと、2690v4が5000円×2、マザーボードが2万円、メモリ16GBが2500円×8で、少なくとも合計5万円はかかるはずです。4.5万円でまとめて買えるならアリだと思います。セットなので、この組み合わせで確実に動作する、という保証があるのもメリットですね。
開封と組み立て
配送でトラブルもありつつ、華麗に切り抜けまして、無事到着しました。
こんな感じの箱に入って届きました。巨大すぎて動かすのがめんどくさくて全景の写真は撮ってません。
付属品もこの画像の通りで、CPUクーラーのアタッチメント的なやつが入っていました。
そしてCPU。ちゃんとE5-2690V4です。マザーボードに組み付けられた状態で送られてくるのですが、わざわざ外しております。
再び固定。
この後ケースに組み込んでいくわけですが、巨大なので普通のATXのケースには入らないため注意が必要です。さらにめんどくさいことに、E-ATXではなくSSI-EEBなので、選べるケースは少ないです。
わざわざケースを用意するほどでもないので、史上最高のベンチ台であるSTREACOM BC1でなんとかします。
このベンチ台はSSI-EEBに対応していません。が、ソースファイル(CAD用の.stpファイル)が無料でダウンロードできるようになっています。それを3Dプリントするなどして追加のスペーサーを作り、気合いで設置することができました。
完成
ほかのパーツも組み付けて普通に完成。無事動作しました。
AliExpressで適当に買ったCPUクーラーと、InWin MARSを2台付けたせいで、いかつい感じの見た目になっちゃってますね。あと配線がぐちゃぐちゃです。
Ubuntuをインストールしました。56論理コア、128GBを認識しています。
ちなみに、X99チップセットを搭載しているということでしたが、実際にはC612チップセットが乗っていました。当たり前だし問題ないんですけどね。
おすすめはできませんという話
普通に使えるPCではあるものの、乗り越えなければいけない壁が多いのでおすすめはできません。
- Windows 11 Proが必要
Windowsで2CPUを動かすには、Proライセンスが必要です。普通に買ったら2万円以上はかかるので、Linuxを入れて使うとかでないとお得感は少ないです。Windows11の動作にはTPM2.0が必要ですが、対応していないので、インストールするにはレジストリをいじってバイパスすることになります。 - 消費電力が高い
当然電気代はかかるし、余裕を持った容量の電源ユニット(600W以上が推奨らしい)を用意しないといけません。 - ゲームには向かない
シングルコア性能が低いので、ゲームには向きません。 - パーツの選択肢が少ない
SSI-EEB/E-ATX規格のケースが必要です。また、LGA2011-3に対応したCPUクーラーが必要です。 - そもそも中古品である
CPUもメモリも中古品です。マザーボードは新品ですが、乗っているチップセットは中古サーバーから奪ってきたやつです。 - 怪しい
怪しいメーカーなので説明書とか一切ないし、初心者には厳しいかもしれません。パーツの信頼性も不明。
これらの大量のマイナスポイントの影響を受けない用途であれば、格安で大量のコアとロマンを手に入れることができるわけです。実際には、ゲーム以外の用途ならまったく性能に不満は出ないと思うので、問題になるのはWindowsのライセンスをどうするかというところくらいかもしれません。
まとめ
使ったパーツと価格、購入先リンクをまとめておきます。
パーツ | 価格(円) |
---|---|
マザボ+CPU+RAM | 45784 |
CPUクーラー×2 | 6600 |
電源: CM G800 Gold | 13000 |
ケース: BC1 V2 ATX | 23500 |
グラボ: 中古RX470 | 5000 |
SSD | 5000 |
InWin MARS×2 | 7000 |
SSDヒートシンク | 1700 |
合計107,584円でした。MARSとSSDヒートシンクはなくてもいいので除くと、ギリギリ9万円台。ケースをもっと安いものにすれば8.5万円くらいで組めるのではないかと思います。
今回組み上げたPCはとある最高なSNSのサーバーに活用されます。