マストドン | |
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開発者 | Eugen Rochko(Gargron) |
ソースコード | GitHub |
プラットホーム | Linux互換OS (サーバーサイド) ウェブ (クライアントサイド) iOS、Android、ウェブなど (サードパーティーのクライアント) |
プログラミング言語 | Ruby, JavaScript |
サービス開始日 | 2016年10月6日 |
寄付 | https://www.patreon.com/mastodon |
ライセンス | GNU Affero General Public License |
Webサイト | https://joinmastodon.org |
マストドンまたはMastodonとは、オープンソースの分散SNS、ミニブログ。
Eugen Rochko(Gargron)氏により開発されている「分散SNS」。2016年10月6日にHacker Newsで存在が公表されたため、この日がMastodonの誕生日とみなされている[1]。複数のインスタンスが互いに通信し、連合(fediverse)を形成することが特徴。インスタンス間の通信プロトコルはOStatusとActivityPubが利用できるため、これらのプロトコルを持つ他の分散SNS (GNU social、Pleromaなど) とも連合を形成することができる。ミニブログ、すなわち短文投稿型SNSであるところはTwitterに類似している。オープンソースプロジェクトであるため、多数の開発者によるコードの提供を受けている。
joinmastodon.orgはマストドンの公式ウェブサイトと目されている。これは、新規のユーザーのために、マストドンとは何であるかを説明するウェブサイトである。マストドンのユーザーは多数のインスタンスからいずれかを選択してユーザー登録を行う必要があるため、インスタンスの一覧表も付属している。また、instances.socialにリンクが張られており、ウィザード形式でインスタンスを選択できる。なお、公式ウェブサイト以外にも、マストドンについての解説や、インスタンスの一覧を提供するウェブサイトが多数作られている。
GitHubのTootSuiteオーガニゼーション[2]はマストドンの公式リポジトリと目されている。このリポジトリでソースコードの集約と配布、議論の集約を行っている。公式リポジトリ以外のリポジトリとして、マストドンのフォークであるMastodon Glitch Editionが知られている。また、マストドンのソースコードを改変しているインスタンスはソースコードを公開する義務があるため、独自のリポジトリを持っていることが多い。
mastodon.socialはEugen Rochkoが運営しているインスタンスであるため、公式インスタンスとして見られることがある。ただし、他のインスタンスと比較して特別な待遇があるわけではない。本家も参照。
マストドンのサーバーサイドはRuby on Railsで構成されている。インスタンスの規模にもよるが、快適に動作させるには潤沢な計算機資源が必要である。
他のインスタンスと通信するためのプロトコルはOStatusとActivityPubに対応している。開発開始からバージョン1.5までは、プロトコルはOStatusのみであった。バージョン1.6はOStatusとActivityPubの両方で連合を形成できるようになった。バージョン2.0もOSatusとActivityPubの両方に対応しているが、OStatusに「破壊的な」変更が加えられた。ここでいう「破壊的」とは、以前のバージョンとの完全な互換性が失われるという意味の専門用語であり、文字通りの意味でOStatusが破壊されたわけではない。この変更の具体的な内容は、公開範囲が非公開またはダイレクトであるトゥートがOStatusでは配信されなくなった[3]というものである。実用上の影響は軽微であり、バージョン2.0以降でも引き続き、OStatusに対応する (ActivityPubには対応していない) インスタンスとの通信が可能である。
マストドンのウェブUIは、いくつか個性的な特徴を持っている。PCで表示されたウェブUIは、複数のカラムで構成されている。これにより複数のタイムラインを同時に見ることができる。スマートフォンのウェブブラウザでマストドンのウェブUIを見た場合には、PCでのカラムに相当するものが1個だけ表示され、メニューアイコンまたはスワイプでカラムを切り替える。
マストドンのウェブUIのカラースキームはダークな背景色を持つ。この色使いには賛否両論あり、カラースキームを変更しているインスタンスや、独自のカラースキームを持つクライアントも多い。マストドンに関連するウェブサイトのうちjoinmastodon.orgやMastodon Timeline Peeping Toolなどはマストドンのカラースキームに従っているが、そうでないウェブサイトの方が多数派である。
マストドンのサーバーサイドとクライアントサイドの間の通信はAPI[4]として公開されている。そのため、多数のクライアントが作成されている。特にスマートフォンではウェブUIよりもアプリが好まれている。サードパーティークライアントについてはクライアントを、また一覧はカテゴリ:マストドンのクライアントを参照されたい。
2017年4月、日本におけるマストドンブームが発生し、ユーザー数とインスタンス数が激増した。同年5月から6月頃にかけてブームは沈静化したが、2017年12月時点でも、衰退というよりは安定というべき状況にある。
Twitterにはないマストドンの特徴としてローカルタイムラインが挙げられる。そのため、日本におけるマストドンブームの時期には、ローカルタイムラインでの会話がマストドンの魅力であるという言論が多く見られた。その後、複数のインスタンスが連合を形成することの利点や、他の分散SNS (具体的にはGNU social、Pleroma、PeerTubeなど) とも通信できることを重視する意見も出された。2017年12月の時点においても、ローカルタイムラインでの会話という文化を重視する意見[5][6]と、複数のインスタンスによる連合を重視する意見[7][8]が並存しており、マストドンの利用法はインスタンスやユーザーによって多様になっている。
ローカルタイムライン、連合タイムライン、リモートフォロー、ブーストなど、マストドンにはトゥートを拡散するための仕組みが複数備わっている。これは、邪悪または不快なトゥートを目にする危険が大きい[9]ことも意味する。自衛の手段として、ユーザー単位ではブロックとミュート、インスタンス単位ではドメインブロックと鎖国が利用できる。しかし、トゥートそのものを見ることがないとしても、ミームやアイディアはマストドンユーザーのコミュニティーに広まっていく。これを技術的な手段で阻止することは困難である。Twitterがアカウントの凍結を濫用していることへの反動で、日本語圏のマストドンでは自由を求める雰囲気が強い。一方で、自由を歓迎する雰囲気のもとで粗暴なトゥートを行う者と、それを不快に思う者との間に対立が生まれている。Pawooにおける18禁イラスト (特にNSFWを設定していない場合)、mstdn.jpにおける膣は、このようなトゥートを行う者も、それを嫌悪する者も多い。
マストドンの外に目を向けると、インスタンスの一覧を提供するウェブサイトが乱立しているのは、日本語圏のマストドンに特有の文化である。これらの中には、マストドンブームの時期に開設されたものの、現在は更新が途絶えているものがある。一方で、ブームが沈静化した後に、新機軸を掲げて参入したものもある。